放送第18回「セロニアス・モンク特集」(2)

放送第18回「セロニアス・モンク特集」(1)の続きです。

セロニアス・モンクは、音楽ももちろん魅力的ですが、これから聴いてみようという方には、私は映像からの入門をお勧めしたいです。

モンクの音楽は、彼のピアノの音だけではなく、彼の風貌、不可思議な挙動、ファッション、それらが一体となって「音楽している」感じがするのです。

私が最初に接したモンクも映像でした。

モンクが来日の際にTBSのスタジオで収録された映像で、これを見た瞬間からモンクの虜になり、最初から最後まで目が画面に釘付けでした。

トレードマークの帽子に、コート。

スタジオの照明で暑いことは容易に想像できますが、それでもコートを脱がない(笑)。

だから汗がボトボト。

この汗のせいで、担当はレンタルしたグランドピアノを返す際、「ピアノに水をかけた」と誤解され始末書を書いたという逸話もあるほど汗をかきまくっています。

汗のせいで指につけている指輪もクルリと回転してしまいます。

他の映像作品でも紹介されていましたが、モンクがしている指輪は、「MONK]と大きく立体に彫られた大きな指輪なのです。
この指輪が汗ですべってクルリと回転します。

クルリと回転するたびに、ピアノを弾く手を休めて指輪をもとの向きに直す(笑)。

そんな姿を拝めるのも映像ならではの楽しみ。

モンクの音楽は、きっとピアノだけだと、そのタイム感覚やユニークな和音から「難解」と感じてしまうでしょうが、さにあらず。

もちろん、音楽や演奏にはモンクなりの計算や周到な仕掛け、深く哲学的な要素もパッキングされていることは確かですが、それを上回るユーモア精神、遊び心がモンクの音楽にはあります。

これを感じるには、映像とともにモンクを“感じる”ことが一番。

映像でモンクを楽しく“感じる”ことたが出来れば、極端なことをいえば、あとはどのアルバムからモンクにはいったとしても、スムースにモンクの世界に入り込むことが出来ると思います。

『モンク・イン・ジャパン』はLDなのでプレイヤーを持っていない人にはつらいソフトですが、現在はLDは生産中止の模様。

AmazonにはVHSが出品されていました。


セロニアス・モンク ’63 イン・ジャパン [VHS]

しかし、ビデオテープのデッキを持っていない家庭も最近は増えているのではないかと。

なので、それ以外の映像を紹介します。

廉価かつ手軽にモンクの映像を楽しめるのは、なんといってもドキュメンタリー・フィルムの『ストレート・ノー・チェイサー』でしょう。


セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー [DVD]

インパクトはモンク・イン・ジャパンに劣るかもしれませんが、彼の生涯を手軽に追いかけることが出来ます。

もちろん演奏風景のみならず、プライベート映像、演奏前の打ち合わせ風景や、スタジオでのレコーディング風景、プロデューサーとやりあっているシーンなど興味深い演奏も満載です。

もちろん、ラジオではモンクの映像は流せません。

だから、よりモンクの特異さ、楽しさ、インパクトを感じてもらうために、まずは強引なほどに同じフレーズを繰り返すブルースを“掴み”としてかけてみました。

それが『アンダー・グラウンド』からの《レイズ・フォー》です。


Underground

この強引ブルースは、あまり語られることのない、半ば埋もれた曲(?)かもしれませんが、「なんじゃこりゃ?」とリスナーの耳を強引にスピーカーに惹きつけるに十分な腕力を持った演奏だと思っています。

記:2009/02/01

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